一部の星採りの間ではよく知られた話ですが、星の屑を採りに山に入るときは、山ヒポポに気をつけなければなりません。うっかり体中が星の粉まみれのままでふらふら歩いていると、山ヒポポに星の塊と間違えられて、出会い頭に丸呑みにされてしまうことがあるのです。彼らは星の屑が好物ですから、星の屑が豊富な山には山ヒポポが住んでいることも珍しくありません。
さて、山ヒポポは悲しみから生まれると言われています。 彼らは古くから山の守り神とされ、その多くは「ヒポポ使い」の一族がついて身の回りの世話をしています。山ヒポポは体こそ大きいものの、本来とてもおとなしい生き物です。ですから、ヒポポ使いたちの仕事といえば、ただ山菜に星の屑を混ぜた餌を与えたり、一緒にのそのそと山を散歩したり、ときどき体を洗ってやったあと日向で並んで昼寝をしたりするだけです。 年老いたヒポポ使いは、最期に跡継ぎを決めると山ヒポポの口の中に入ります。山ヒポポは、友達の言うことはおとなしく聞くので、これは難しいことではありません。そして、山ヒポポは口の中に入ったものはなんでも飲み込んでしまいます。こうしてヒポポ使いは命を落とします。 友達を食べた山ヒポポは深く悲しみ、三日三晩大きな声で鳴き続けます。その声は高く低く、何百里も離れた山まで届いて、木霊(こだま)となって響きます。 その木霊から、新しい山ヒポポが生まれるのです。
by tatsuki-s
| 2004-05-03 00:01
| Anecdote/Pun(小噺・ネタ)
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