飲酒日記

スキー&スノーボード2004-2005

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へやさがし

「すみませーん」
「はい、いらっしゃいませ。お部屋探しですか?」
「ええ、そうです」
「ご要件は?」
「この駅の近くで、15坪以上、バス・トイレ付き。できればオートロックのついた新築マンションとかがいいです。それで、4万円くらいだといいかなぁ、なんて」
「調子のんなよ」
「え?」
「いえ、なんでもございません。こちらの物件などはいかがですか?」
「あ、広〜い」
「もともと8坪の1Kの二部屋を改装してつなげてあるんですよ。2DKで3万5千円」
「わぁ…すごい」
「木造、築53年。トイレはくみとり。冬はよく燃えるらしくて毎年必ずボヤが出ます」
「わぁ…ひどい」
「近所では『燃料屋敷』と」
「そんなもの勧めないでください!」
「だって…そんな条件じゃ難しいですよ。どれかまかりませんか?」
「んー。じゃあ新築じゃなくてもいいですけど、せめてもう少し新しいので」
「では、こちらの物件はいかがですか?」
「45坪、一戸建て、築5年、駅から3分、日当たり良好。…で、えぇ、月々5万!?」
「激安、もー、爆安です!」
「わぁ、すごい。いいですねぇ」
「ただ…ちょっとだけ、問題がありまして。まあたいしたことじゃないんです」
「な、なんですか?」
「声がするんですよ」
「どんな…?」
「夜中になると、押し入れのあたりから…ニャアァーーーァ!
「わ! びっくりした!」
ギニャーばりばりばりー!ぎゃーっ!!わーー!!
「入らない、入らないから!」
うぎゃあああぁぁぁぁ殺されるうぅぅぅぅって、え?」
「ハァ、ハァ……そ、そんな部屋、やめてください。絶対入りませんから!」
「あ、なーんだ。せっかく紹介してるのに、なんか疲れてきちゃったナー」
「ナーって…こっちの台詞なんですけど」
「お客さん、いろいろ難しいこと言いますね」
「当たり前です! もう怖いのとかいいですから、もっと平和なところで!」
「うーん、ここなんか、閑静な住宅街ですよ」
「あ、これなら良さそう♪」
「上下と両隣にDJやってる人が住んでるそうなんですけど」
「だめじゃん!」
「私はラップとかあまんり詳しくないんですYo!」
「そうでもなさそうだし!」
「あーもー。いったいどんな物件がいいんですか?」
「怖いのとかうるさいのじゃなくて、安心して住めるところ…もう、それだけでいいです」
「仕方ないですね。とっておきの物件をご紹介しましょう」
「なんか泣きそうになってきました。最初からそうしてください」
「その前に、ひとつその家にまつわるお話をさせてください」
「はあ」
「10年ほど前の話です。この町に一人の若者が住んでいました。彼は幼くして両親を失い、天涯孤独の身となったのですが、貧しさにも負けずに、たいへんな苦労をして大工になりました。

 彼には、将来を誓い合った恋人がいました。同じように身寄りのない二人は、その孤独ゆえに惹かれ合い、互いをかけがえのないものと感じていました。彼は、そんな二人のために自分の手で家を建てたのでした。

 ところが、ある日、彼は事故に遭ってしまいます。ひどく時間がゆっくり過ぎるなか、彼は自分の死を悟りました。彼には、自分が死ぬことは怖くありませんでした。ただ、残される恋人のことだけが心に溢れました。 

 彼は薄れゆく意識のなかで祈りました。

 神様、お願いです。
 この僕に、この世界のあらゆる残酷さから彼女を守る力をください。


 祈りは届き、彼の魂は自分の建てたその家に宿りました。

 家は、寒い冬の日でも不思議と暖かく、眠れぬ嵐の夜でも静かな安らぎがありました。彼女は部屋に帰ると、いつも誰かにやさしく見守られている気がしました。外でつらい思いをして孤独にうちひしがれて帰ってきたときも、静かに座っているだけで、彼女の心は自然に幸せな気持ちで満たされてゆきました。

 恋人を失った彼女の心の隙間は、少しずつ埋まってゆきました。
 こうして三年の月日が経ち、彼女はある男性と恋に落ちました。

 そして、ある雨の朝、彼女はその男性と結婚してその家を出て行くことになりました。彼女は、最後に部屋を出てゆくときに、振り返って言いました。

 ーーいつも私を見守ってくれて、どうもありがとう。もう大丈夫だよ。

 そのとき、天井からポツリと雨のしずくが落ちました。 
 その家は今でも雨の日になると、ときどき涙を流すのです。」

「へぇ…。そんなお話がある部屋なんですか」
「ええ。最近はずいぶん激しく泣く日もあるんですが、そこはロマンですから」
やっぱり別の部屋にしてください
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by tatsuki-s | 2004-04-30 00:01 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)

サンドウィッチ

サンドウィッチの名前といえば、英国のサンドウィッチ伯爵がポーカーをする際に片手でつまめるものを作らせたことに由来する、というのが一般的な説です。

でも、一説には、サンド魔女ウィッチ以外ならなんでもはさんで食べられるからこの名がついた、とも言われているそうです。

あー。
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by tatsuki-s | 2004-04-29 21:13 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)

悪夢一篇

人生は見えない深淵の上空をそれと知らずに渡り歩く作業のようなものだ。

その上に立って歩いているときには平坦に見える足場も、地の底から見上げればそこは茫漠たる空間にすぎない。足元には、音もなく大きな裂け目がぱっくりと口を開いている。

それに気づかない束の間の時間だけ、彼はその裂け目に落下することなく、魔術のように宙に浮いているのだ。

人は、この世に顔を出す寸前に、暗い胎内でこう言い渡される。

決して我に返ってはならない。魔術が解けてしまったら、真っ逆さまだ」

そして産声を上げた瞬間、その言葉もろとも真実を忘れる。
再び闇に帰る日まで、彼がそれを思い出すことはない。


§        §        §


――自分を他人の視点で見てみたい、と思ったことはないかい?

いつものバーでソーダ割りを飲んでいた僕に、突然隣の男が話しかけてきた。
僕はやや不審に思いながらも、一人で飲む退屈も手伝って、その男の言葉に興味を引かれた。あるいは、少しばかり酔っていたのかも知れない。

「ふむ…それは、どういう意味で?」

――言葉通りだよ。人は、自分の右腕のひじを右手で掴むことができないように、自分で自分を見ることができない。

「それはそうだが、この世には鏡というものもあるし、カメラやボイスレコーダーだってある。見ようと思えば、誰でも自分の姿を、他人が見るように見ることができるさ」

――確かに、間接的にはそうとも言えるね。

「しょっちゅうカメラに写っている芸能人なんかは、誰よりもそうじゃないか。自分の身体の動き、声、癖、そんなものを違和感なく受け入れるためには、結局他人を見る目で自分を見なくちゃならない」

――そう。その「違和感」というやつだ。人間は、自分自身にも、他人に対するのと同様に「違和感」を持てる生き物だ。ただ、普段は気がついていないだけで。

「その違和感だったら、子供の頃に録音した自分の声を聴くとか、そんな誰でもしたことのある経験で味わってるよ」

僕は、ソーダ割りの残りを飲み干すと、話を切り上げようとした。
どうも、自分はこの話に妙に熱中しすぎている気がした。

――でも、それは完全なものじゃない。まるで他人に触れるように自分に触れ、そのすべてを直接、仔細に眺めることができたら、それはきわめて特殊な経験と言えるんじゃないかな?

「まあ、できたら面白いだろうね」

僕は少しうんざりしながら、グラスに残った氷を指でくるくると回した。

――試してみたいと思わないか。

「冗談だろう」

――そう思うならそれでもいいさ。

そういって真っ直ぐこちらを見つめる男の目には、奇妙な力があった。
そこに狂気の影はなく、知性と落ち着いた雰囲気があった。僕は、この男は何か真実を語っているか、少なくとも語るに値する何かを示そうとしていると感じた。

僕は黙って勘定を済ますと、すでに席を立っていた男に続いて、店を後にした。


§        §        §


男の後についてやってきたのは、オフィスとも店舗ともつかない奇妙な建物だった。入り口すぐ手前にエスカレーターがあり、その奥は通常の事務室になっていた。

薄暗いビルのフロアをいくつか上ると、エスカレーターのすぐ右手にある、カーテンで仕切られた一角に通された。奇妙なことに、そこだけがまるで私室のようなつくりになっていた。

周囲より10センチほど床を高くして、6畳ほどのカーペットが敷かれたその小さな空間には、そこかしこに本が積み上げられ、ぽつんと正面に置かれたデスクの上にはノートパソコンが一台起動していた。液晶ディスプレイの明かりで照らされた部屋は、薄暗い書斎のように見えた。

仕切りの白いカーテン越しに、エスカレーターの向かい側で会議でもしているのか、ざわざわした音が聞こえていた。

「蒸し暑いな」

――すまないが、少し我慢してくれ。この部屋は窓がないんだ。

男は、ノートパソコンに数本のコードをつなぐと、簡単な設定をはじめたようだった。

――生年月日と血液型は?

僕はそれを男に告げた。

――さて、これでいい。仕掛けは単純だ。偽の身体を作って、そこに一時的に魂を移す。そうすると、君はその偽の体から自分を観察することができる。

「それは、疑似体験としてか?」

――そう思ってくれてもかまわないが、ひとつだけ気をつけてほしいことがある。君の体は、一時的に魂の抜けた状態になる。その間、君の体は呼吸もしないし心臓も停止している。だから、あまり時間が経ちすぎないうちに元に戻らなくてはいけない。

「時間はどれくらいなんだ」

――そうだな。ざっと3分というところだ。

「3分か。まあ、それだけあれば充分な気もするな」

――さて、どうする?

「ものは試しだ。やってみてくれ」

――わかった。

男は僕をデスクに向かわせると、さきほどつないだコードのうちの2本を引っ張り出して、僕のこめかみに貼り付けた。

――それじゃ、準備はいいね。

そう言うと、男はEnterキーに指を落とした。

その途端、血の気が引いていく音が聞こえた気がした。

周囲の書棚がゆっくりとこちらに向かって倒れこんでくる。部屋は急激に暗さを増し、たちまち闇に飲み込まれていった。ずるずると引きずりこまれるような感覚が身体を捕らえる。身体はそのまま椅子もろとも沈下しはじめ、激しい吐き気と不安が襲い掛かった。

僕は思わず椅子から転げ落ちて床にはいつくばったが、床の高さに体を引き上げるイメージを何回繰り返しても、緩慢な沈下運動は容赦なく続くように思われた。


§        §        §


気がつくと、部屋はもと通りのほの明るさを取り戻していた。
体の状態もすっかり元通りになっていた。

足元には、自分の身体が倒れていた。

それは、実に奇妙な光景だった。
鏡で見るのとも、ビデオカメラに写っているのとも全く違う。自分の身体でありながら、今は自分の身体でないそれは、ひどく生々しく、過剰なまでの実在感があった。

おそるおそる、首のあたりに手を触れてみる。少し汗ばんで生暖かかった。

今度は指を握ってみた。すると、激しく奇妙な思いにとらわれた。
握られているのは見慣れた自分の手だ。僕は、反射的に、自分の右手で左手を握ったときのような、触れる感覚と触れられる感覚が同時に伝わる状態を予測した。しかし、その感触は伝わってこない。その手は握り返したり動いたりすることもなく、他人の手に触れているのともどこかが違う。自分の感覚が麻痺してしまったような錯覚に陥る。

ふと見ると、自分の身体はひどくぐったりしていた。しかも、椅子に座っていたいたままの姿勢で床に倒れこんだために、腰が曲がったままの不自然な姿勢で横たわっていた。僕はまっすぐに寝かせようと思い、両脇に腕を差し込んで身体を引き上げた。

…重い。しかも、先ほどの苦痛のためか、着ている物も心なしか汗ばんでいた。
ズルズルと引きずって、身体をまっすぐに横たえようとしたが、身体は「く」の字の形のまま、ゴロリと反対側に転がった。

なにかが、おかしい。

身体が硬直し始めているのか? そんなことはありえない。
確かに、たった今まで体温があって暖かかったのだ。

まさか、と思って時計を見ると、すでに30分以上が経過していた。
あわててもう一度触ってみると、指先が冷たくなりかけている。
冷たく、張り詰めていて、少し硬い。粘土細工のような感触。

「なあ、急いで戻らないとまずいことになりそうなんだが」

返事はなかった。
気がつくと男はいなくなっていた。

自分の本物の肉体が、目の前で次第に堅く、冷たくなってゆく。
肩や首のあたりが、ゾウの皮膚を思わせるもたつくような重さを漂わせ始めた。

本物の身体が駄目になってしまったら、今僕がいる身体は一体なんなのだろう? 僕はこのまま偽の身体に取り残されてしまうのだろうか。僕は凄まじい速度で思考をめぐらせ始めた。

違う。

これは自分を外部から見るとか、そんな装置なんかじゃない。


 目の前にあるのは  ただの死体。


部屋がぐにゃりと歪んだような気がした。歪んだのは僕の脳だったのかもしれない。それと同時に、床は柔らかい粘土でも裂くように、音もなく割れはじめた。


――思い出したんだね? それじゃ、魔術は終わりだ。


§        §        §


というような夢を、風邪で寝こんでいたときに見ました。

え、オチ?

いや、だから堕ちたじゃないですか。(笑えねぇ)
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by tatsuki-s | 2004-04-27 18:35 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)

老兵ふたたび

——この期に及んで、この俺が前線に引っ張りだされるとはな。

彼はそう呟いて、自嘲気味に薄い笑いをうかべた。

——俺は、もう用済みのはずだったんだが。

僕は彼に、そんなことはない、と言おうとして思わず口ごもった。実際、僕にしたところでもはや彼の活躍の場はないだろうと思っていたのだから。

過去にどれほどの実績を積み重ねても、変化し続ける世界に取り残されてしまうことはある。まして、彼のような一つの際立った才能は、ひとたび自分の行き場を見失ってしまえば、その能力ゆえにかえって徹底的に退くしかないのかもしれない。その悲哀は、僕には決して理解できないものだ。

どんなに取り繕おうとも、身勝手な話であることは明らかだった。大局的な情勢の安定化に伴い、彼の活躍の機会は明らかに減りつつあることに誰もが気づいていながら、その誇りへの気遣いという言い訳のもと、誰一人彼に暖かい言葉をかけるでもなく、僕たちはそれを無視し続けた。

僕は毛布に包まったまま、ただ、

「頼むよ」

とだけ言った。

——…全く、どうしようもない馬鹿だな、俺は。

彼はもう一度薄く笑いながらそう答えると、自分の定位置——かつては彼自身が風景の一部であるとさえ思えたその場所——に身を置いた。

屋外は敵の気配で充満していた。次第にじわじわと押し寄せるような緊張感がよみがえる。撃鉄を小さくかちかちと鳴らす音が、静かな室内に響いた。彼の口元には相変わらず笑いの影が残っていたが、その瞳の奥には、現役時代を思わせる光がともりはじめていた。

——行くぞ。

その言葉とともに、完全に、彼は自分のあるべき姿を取り戻した。

§        §        §

(訳)急に寒くなったのでストーブを出してつけました。

僕の部屋は北向きで、冬の朝は息が白くなるほど気温が下がります。
今日はスキーに行こうと思っていたのですが、熱が出たので家でごろごろ。

文章のテンションが変だとしたらそれは風邪のせいです。

あー、あったかいなー。
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by tatsuki-s | 2004-04-25 18:07 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)

記憶について(飲酒篇)

僕はお酒を飲んでいて記憶を失った記憶がほとんどなくて、これまでの人生ではまだニ回くらいしかありません。

こういう言いかたをすると「へえ、記憶を失ったことすら忘れてるんだ」とか言われそうですがそんなことはないです多分

一度はまだ学生の頃で、ある朝「全裸・浴室・シャワー出しっぱなしで倒れている」という、まるでサスペンスドラマの序盤で被害に遭う女性のようなシチュエーションで目覚めたことがありました。

帰宅したところまでは記憶にあったのですが、その後の記憶がきれいさっぱり消えていました。体型はマイクロフトでもシャーロックばりの推理を展開して、洗面器に残された黒い物質と台所に残された食器などから、どうやら帰宅後にイカスミのパスタをゆでて食べて、しかも吐いていたらしいことまではつきとめたのですが。

もう一回はごく最近のことで、ある朝このブログに身に覚えのないエントリーがアップされていたことがありました。

このときも飲んで帰ってきたところまでしか記憶がなかったので、最初は小人さんの仕業かと思ったのですが、飲んだ量といい文末のオチなさ加減といい、自分以外に考えられずに二重の意味でショックを受けました。

そんなわけで飲酒と記憶の話。前フリ長っ!

少し前に、飲むとしばしば記憶を記憶を失うことで知られる某女史に「どの時点から記憶をなくして、どれくらいまでなら思い出せるか」を質問してみました。

(1)臨界点を突破する(要するにベロベロになる)と、翌朝は記憶を失う
(2)その場合、それ以前のほろ酔い状態のことも遡って失われることがある
(3)(2)は頑張れば思い出せるが(1)の状態より後のことはどうやっても思い出せない

とのことでした。どうやら一口に「記憶を失う」といっても、酔いの状態によって記憶の消え方/残り方には差があるようです。なお、この質問自体も飲んでいるときにしました。心配です。

さて、まずは酔っ払いかたの種類ですが、これは大きく「普通酩酊」と「異常酩酊」にわけられ、さらに「異常酩酊」には2つの種類があるそうです。

1.普通酩酊

   a.気分が高揚して感情のコントロールがやや甘くなる。
   b.集中力が低下し、ふらついたり、ろれつが回らなくなったりする。
   c.寝る

  飲む量や速度によって a→c の順に進行。
  異常に興奮したり自分の状況が把握できなくなったりすることはあまりない。

2.異常酩酊

 2−1.病的酩酊
   意識がぼんやりして、その人が素面のときにはありえない攻撃的・暴力的行動を
   とりやすくなる。比較的少量の飲酒でひきおこされ、覚えていないことが多い。

 2−2.複雑酩酊
   状況の把握はできているが、興奮の度合いが高く、言動が粗暴で刺激的になる。
   衝動的犯罪を起こすこともあるが、記憶は残っていることが多い。

ふむふむ。
いわゆる「ベロベロに酔う」状態は「病的酩酊」ということになるようです。
一方「理性が残っているのに目つきがヤバくなって暴れる」のが「複雑酩酊」。

ただ、上記は現象の分類でしかないので、記憶が飛ぶ理由はよくわかりません。
というわけで記憶のほうにいってみます。

よく知られるように、人間の記憶には「長期記憶」と「短期記憶」がありますが、より細かく分類すると次の通りになるそうです。

1.短期記憶

 a.感覚情報貯蔵
    映像や音声などの感覚情報をそっくりそのまま保持する記憶。
    保持期間は1秒程度。

 b.直接記憶
    数字ならぱっと見で7桁までとかいう、いわゆる短期記憶。
    保持期間は30秒から数分程度。

 c.作業記憶
    状況の変化や脈絡を一定時間記憶し、知覚や認知活動を
    ガイドする記憶。中期記憶とも呼ばれる。
    保持期間は数分間から数時間程度。

2.長期記憶

 a.宣誓的記憶
    言葉で説明できる記憶。いわゆる知識や情報のたぐい。
    以下の2つに分類される。

    ア.エピソード記憶:出来事や場面に関する記憶。時空間的。
    イ.意味記憶   :言語や知識の記憶。概念的。

 b.手続き的知識の記憶
    言葉で説明しづらい記憶。自転車に乗ったり文章を書くなど、
    知識や経験の活用法についての知識を含む、手順・制御に関する記憶。

短期記憶はそのままでは一定時間経過すると消えてしまうので、そのなかで重要だと判断される情報については、長期記憶に伝達されていきます。一般に、どこに行って誰と話をしたか、といったようなおおまか状況の記憶は重要度が高いため、すぐに長期記憶送りになり、エピソード記憶として保持される、ということのようです。

お酒を飲むと、この伝達系の働きが阻害されて長期記憶への受け渡しがうまく行かなくなり、長期記憶に転送されなかった記憶は、文字通り永久に失われてしまうことになります。

さらに、長期記憶が完全に定着するまでにも段階があって、たとえば、ことばの意味を覚える場合、最初はそのことばを覚えた状況がエピソード記憶として保持され、その後にことばの持つ意味だけが記憶として残り、意味記憶になると考えられているそうです。

この他にも定着させたり記憶にアクセスして思い出したりするためには無数のプロセスがあるようで、飲んでいるときに長期記憶に転送された断片的な記憶などの単独で意味をなさないものは、しばらくしてやっぱり消えてしまうか、実は脳の中に残っていても思い出すことができないなど、いろんな理由で失われていくわけです。もちろん物理的な理由でも失われます。

なお、サフランには長期記憶への伝達を助ける物質が含まれているので飲み始める数時間前にパエリヤを食べなさいとかいう話もありますが、これものすごく無理そう。サフランの粉末でも持ち歩きますか。

ところで、今日はすごいオチを考えていたのですが、すっかり忘れてしまいました。

とても残念です。
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by tatsuki-s | 2004-04-24 14:46 | Talking(よもやまばなし)

記憶について(対話篇)

「記憶の操作って言っても、実際には人間の記憶なんて、そう簡単にホイホイ消せるもんじゃないんだ」

——それじゃ…なんできれいさっぱり忘れちゃってるの。

「つまり…記憶を『消す』っていう言葉自体、正確じゃないんだ。どっちかっていうと『思い出さないようにする』っていうのが正しいかな」

——…それって、どう違うわけ?

まるで詐欺師でも見るような目つきで言われる。

「うーん…たとえば、テストのときは、問題が出てきたら記憶をたぐって覚えたことを思い出すでしょ?」

——あたりまえじゃない。

「でも、思い出そうと思えるのは、そのことを『勉強した』っていう記憶があるからなんだよ。『昨日試験範囲は勉強した。この部分はやった覚えがある』ってね」

——まあ、それはそうかも。

「ところが、そもそも『勉強した』っていう意識そのものを消されたらどうなると思う?」

——思い出そうとすることもできないってこと?

「その通り。つまり、そういう意識のカギになる部分さえピンポイントで壊してしまえば、覚えていることを全部忘れさせるよりもずっと簡単に記憶の操作ができてしまうってことなんだ」

——それで?

「…え?」

——その「ピンポイント」って、どういうときに起こるわけ?

「たとえば、飲み過ぎたとき…とか。それより、その手に持った金属バットはなんですか?」

——これは気にしなくていいから。他には?

「あ…頭に強い衝撃を受けたときなんかも、多分」

——じゃ、逆に思い出すこともあるよね?

「それはもしかして…もう一回飲み過ぎろってことですか?」


首ははっきりと左右に振られた。
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by tatsuki-s | 2004-04-23 10:08 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)

時には昔の話を(つづき)

先日のCDですが、実は2枚組で50曲以上も収録されているという罠。

覚えている曲に全部ひっかかっているととんでもないことになってしまいます。
先日のエントリーが1枚目で、今回は2枚目。

こっちのほうが好きな歌が多いので、えらいことになりそうな予感。


▼トレロ カモミロ♪

初出OA:1970年2月

> その名たかき トレロ・カモミロ
> 男の中の男だけど
> トレロ・カモミロ とてもねぼすけ
> 戦いよりも ひるねが好き

この歌、ものすごく好きでした。

もともと日本で「闘牛士=ヒーローの代名詞」というイメージがあるわけでもないと思いますが、メリメ/ビゼーの『カルメン』や、ヘミングウェイの『陽はまた昇る』などでの闘牛士の位置づけが違和感なく受け入れられるのは、ある世代にとってはこの曲の功績が大きいのではないかと勝手に思っているくらいです。

ところで話はかわりますが。
数学の授業で必要条件十分条件というやつを習ったことがあると思います。

 「とてもねぼすけ」だからといって必ずしも「男の中の男」ではない。

みんないいかー、ここ試験に出るからなー(人生の)


▼恋するニワトリ♪

初出OA:1985年2月

> ココ コココ ココ ココ
> コココ 恋は恋は恋

この曲は、みんなの歌よりもむしろカバーで歌ってたCoC滅多なものを思い出してはいけませんね。

ところで、この曲の出だしの、

> 晴れた朝のニワトリは
> 元気がないのゴメンナサイ

この部分が少し、小林明子の『恋におちて』に似ていると思うのですがどうでしょう。

いや、どうでもいいですね。はい。


▼リンゴの森の子猫たち♪

初出OA:1983年6月

アニメ「スプーンおばさん」のエンディングテーマ。
NHKがよくやる「自局番組のみんなのうたタイアップキャンペーン」のひとつ。
僕はこのアニメをみていたのでよく覚えていますが、あまり「みんなのうた」の曲という印象はないですね。

ハモリの部分が特に楽しく、とても好きな曲でした。
キーが高すぎて子供の頃でも全然歌えませんでしたけど。


▼一円玉の旅がらす♪

この曲の初出OAが1990年2月。
消費税導入が1989年4月。

まあ、それだけです。

けっこう歳いってたはずなのですが、なぜか見ていて覚えてますねこの曲。
そんなに良い曲とは思わないんですけどねー…。


▼メトロポリタン美術館♪

初出OA:1984年4月

夜の美術館というのは、もうそれだけで肝試しの格好の舞台にでもなりそうな場所です。

> 大理石の 台の上で
> 天使の像 ささやいた
> 夜になると ここは冷える
> 君の服を かしてくれる?

平面的な大理石の天使像の頭が動き出すアニメーションのせいもあって、この歌はかなり怖かった記憶があります。

ところで、以前紹介したサイトもそうでしたが、恐怖感は人間を対象にのめりこませてくれる重要な要素です。恐怖というのはけっこうむきだしの感情なので、これをうっかり感じてしまうと、そこから始まる物語に距離を置いてながめることができなくなります。

小説の基本プロットに伝統的にホラーやミステリーが使われるのもこのためですし、童話の多くが怖い話なのも同じ理由でしょう。

> 時間旅行タイムトラベルは楽し
> メトロポリタン美術館ミュージアム
> 赤い靴下でよければ 片っぽあげる

子供というのはただでさえ恐がりなものですし、恐怖の中にあると本能的に救いを求めるものなので、最初の恐怖のあとに続くこのユーモラスな展開に、当然のように心を奪われてしまうわけで。

このあとも「ファラオの五千年の眠り」だとか、死を連想させるモチーフが顔をのぞかせながらも、冷たい無機物だと思っていた美術品は妙にフレンドリーだし、曲調もなんだか明るいので、ますます心が軽くなり、

> バイオリンのケース トランペットのケース
> トランクがわりにして 出発だ!

このあたりになると、ほとんどわくわくした気分になります。
(いま聴いてもこの部分は本当に良いです)

ところが、そうやって油断しきったところに、

> 時間旅行タイムトラベルは楽し
> メトロポリタン美術館ミュージアム
> 大好きな 絵の中に とじこめられた

このオチです。
もう、たまらないですね。


▼ビューティフルネーム♪

初出OA:1979年4月

言わずと知れたゴダイゴの名曲。
僕は子供の頃家にあったLPでさんざん聴いた覚えがあります。

でもこれ、友人某がカラオケに行くと必ず入れるので、なんかしょっちゅう聴いている気がします。


▼小さな木の実♪(「美しいパースの娘」から)

初出OA:1971年10月

> ちいさな手のひらに ひとつ
> 古ぼけた木の実 にぎりしめ
> ちいさなあしあとが ひとつ
> 草原の中を 駆けてゆく

これも非常に有名な歌です。

僕の場合、自分の母親が食器を洗うときにしばしば歌っていたせいで刷り込みがかかってます。
歌詞も非常に劇的で、とても良い曲です。

数年前に林檎閣下もお歌いになっていらっしゃいましたが。

ちなみに、原曲であるビゼーの「美しいパースの娘」ですが、僕はこれまで全曲盤を見かけたことがありません(アリア一曲のみやたらに有名なビゼーのオペラ「真珠取り」のケースからすると、全体としては気が遠くなるほど退屈な曲の恐れがあますが…)。


▼ラジャ・マハラジャー♪

初出OA:1971年10月

> 印度の子供が なりたいものは
> ラジャ ラジャ マハラジャー

不協和な低音に乗って勢い良く始まる耳慣れないメロディと、インドという子供には文化的にあまりなじみのない世界、それに平面的でちょっと怖い影絵のアニメーション、と、この曲には妙におびえたものでした。

でも「メトロポリタン美術館」もそうですが、怖くて印象の強い歌というのは、深く記憶に残るものです。

> 夢からさめない 薬をのんで
> 千年長生きするそうな

今なら意図的に死を連想させていることがわかるのですが、当時はこの歌詞にただただ得体の知れない恐怖を感じた覚えがあります。

オリジナルの音源は戸川純。
これ以上この曲にハマる人はいないと思われる人選です。

残念ながらこれもカバーですが、やっぱり戸川純が歌うからこその「ラジャ・マハラジャー」かと思います。


▼マヌエロ♪

初出OA:1972年10月

> だれかないかあのヤロメをたおす勇者は
> そのなは マヌエーロ
> あたまに ソンブレーロ
> ただひとりチョコラマカラ進むのは
> マヌ エ エ ロ チビのこぞう

小学校の給食の時間に「お昼の放送」というのがあり、そのときにしょっちゅうかかっていた記憶があります。

全然関係ありませんが、イタリアの作曲家プッチーニのオペラ「西部の娘」を聴くと、意味もなく山賊のイメージとしてこの「マヌエロ」に登場する「マノロ」を思い浮かべてしまって困ります。(本当に関係ないですね…)

ちなみに、「マヌエロ」の作曲者パガーノは「トレロ・カモミロ」「黒猫のタンゴ」の作曲者でもあるそうです。

そういえばなんでこのCDには「黒猫のタンゴ」が入ってないんだろうなあ。


▼くまのぬいぐるみ♪

初出OA:1987年10月

持ちぬしの子供が大きくなり、ぬいぐるみ離れをするときがやってきて、子供を見守ってきたくまのぬいぐるみがその心中をモノローグで語る、という曲。ぬいぐるみ版「大きな古時計」という感じでしょうか。

> 君はぼくをよくかんだ
> そしてほおり投げもした
> なのに泣き虫の君は
> いつも死ぬほど抱きしめた

> 少し淋しくて ちょっと悲しくて
> とてもうれしいよ

えーと。ベタですがこういうベタには誰しも弱いものですよね?

あと、聴き直してみて曲調がドラクエだなんてことは、ほんのちょっとしか考えませんでしたよ。


▼ふりむけばカエル♪

初出OA:1987年4月

作詞:糸井重里
作曲:矢野顕子
編曲:坂本龍一、矢野顕子
歌:矢野顕子

という、キャストの時点である意味勝ちみたいな曲。
YMO好きの人にとっては、実は「みんなのうた」は宝の山なのかもしれません。

> 「どうにかなるさ」と声がして
> ふりむけばカエル その声はカエル
> カエルに言われちゃ しょうがない
> カエルに言われちゃ 笑っちゃう

シュールでアイロニーのある、とてもセンスのいい曲と歌詞なのですが、矢野顕子本人が歌わないと、そのへんはどうもうまく伝わりませんね。

ちょっとしたドラッグソングなので、子供の頃はしばらくサビの部分ばかり繰り返し口ずさんでいた覚えがあります。


というわけで、ムリヤリ後半を一回のエントリーに入れてみましたが…。

やっぱり歳とると思い出話が長くなるのか。
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by tatsuki-s | 2004-04-21 00:39 | Talking(よもやまばなし)

時には昔の話を

最近みんなのうたの話をしたことがあったせいか、CDを借りに行ったついでにふと目についた、

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NHKみんなのうた最新ベスト


こんなものを借りてみました。

子供の頃の記憶というのは結構鮮烈なので、歌い手や編曲が違うとすぐに「あれ?」と思うもので、その点ではオリジナルの音源が聴いたときに一番嬉しいものだと思います。

その意味では大半がカバーのCDだったのがちょっと残念(レーベルと著作権の問題と思われますが)ですが、忘れていた曲を思い出したり、記憶の裏づけのために調べてみると発見があったりと、なかなか楽しかったので、特に印象的だったものをネタに少し与太話でも。


▼コンピューターおばあちゃん

初出OA:1981年12月

僕と同世代の多くの人にとって、最初に耳にして覚えたテクノミュージックがこれ、というケースはあんがい多いのではないでしょうか。言わずと知れた、坂本龍一アレンジによる名曲。

このCDでは、うたがオリジナル(編曲は別ですが)の子供の声のままで、ちょっと音程が不安定なところもなんかも含めてなつかしく。

> ぼくのおばあちゃんは
> 明治生まれのコンピューター

> ずっといつまでも 長生きしてください

明治生まれというと、この歌の当時最も若くて70歳、今年だと92歳。
自分の祖母がほぼこのくらいの年代だったり。


▼切手のないおくりもの

初出OA:1978年6月

> 私からあなたへ
> この歌をとどけよう

小学校のときに音楽の授業で歌ってた覚えがあります。
というか、この歌は別に思い出すまでもない気がしますが。

そういえば、教科書の他に、みんなのうた(だったか、違うタイトルだったかは忘れましたが)の掲載された緑色の表紙の手帳サイズの小冊子を貰ってたような。

あの本、まだどっかにあるかな。


▼アップルパップルプリンセス

初出OA:1981年12月

オリジナル音源で歌っていたのは竹内まりやだそうです。
これもオリジナル音源で聴きたいところです。

> アップル パップル ピップル
> ポップル パピプペ

このサビを聴くまで完全に記憶から消えていました。


▼オナカの大きな王子さま

初出OA:1975年12月

> オナカの大きな王子さま
> 白いお洋服が破れそうだよ
> 金のボタンも取れそうだよ

歌詞はべつになんということもないのですが、妙にものがなしい雰囲気の漂う曲で、中学生くらいになってふと思い出して「あの王子さまは実は成人していて、暗愚の悲しさを綴った歌なのではないか」と勝手に想像したりするくらい印象に残っていました。

> こんなに大きなオナカでは
> 空とぶじゅうたんはとばないかな
> 今夜のごちそうやめとこうかな

今夜のお酒控えとこうかな。< せめて「やめとこう」くらい言えないものか


▼虫歯の子供の誕生日

初出OA:1978年10月

> だけどボクにゃ前歯がないよ
> 虫歯の虫に食べられた
> いつになったら はえてくるのか
> 残りの虫歯も大戦争
> ボクは アー もう駄目だ

誕生日にお母さんがケーキを焼いてくれるのに、子供は(おそらくお母さんには秘密にしていると思われる)虫歯があって、これをモノローグで嘆くという歌。

よくある生活習慣道徳的な子供の歌ですが、生え変わりの乳歯を虫歯とごっちゃにしている子供らしい思い込みとか、小さな隠し事のために誕生日の喜びが逆に罪悪感をかきたてている様子とか、押さえるところをキッチリおさえていていい感じです。

やはり表面的でない勘所を押さえている歌というのは、子供心にも深く記憶に刻まれるらしく。


▼キャベツUFO

初出OA:1984年6月

> こんな 知らない 場所で
> 花も 咲かない 場所で
> 蝶々に なんて なれないね
> サナギに だって なれないね

この曲は放送していたときのアニメーションが好きだった覚えがあります。
オケや歌ともども、非常にファンタスティックな雰囲気があって印象が深いです。

気がつくと深夜のキッチンにキャベツごと連れてこられてしまった2匹の青虫が、輸送中に奇蹟が起きてキャベツごと空を飛んで脱出するというストーリーで、子供のときにはもっと長い曲だと思っていたのですが、今聴くと思いのほか短い曲なので驚きます。

やっぱり子供の頃は時間の感覚が全然違うようで。


▼さとうきび畑

初出OA:1975年4月

> あの日鉄の雨に打たれて
> 父は死んでいった
> 夏の陽ざしのなかで

> ざわわ ざわわ ざわわ
> 風が通りぬけるだけ

ひどく劇的な内容に、あまりにも静かなリフレインが続くことに深い衝撃を受けた記憶があります。

僕がまだキャンペーンソングという趣味の悪い単語を知らなかった頃の話です。


▼ありがとう・さようなら

初出OA:1985年2月

> ありがとうさようなら 先生
> しかられたことさえ あたたかい

これも小学校でさんざん歌った記憶がありますが(終業式とか卒業式とか)、これを児童に稽古する先生の心境ってのはどんなもんなんでしょう。


それにしても結構覚えているものです。
書き始めてみるとさすがに数が多すぎですねこりゃ。
ということで、続きは気が向いたらまた。


決してネタの節約じゃないですよ?
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by tatsuki-s | 2004-04-19 00:01 | Talking(よもやまばなし)

巷に雨の降るごとく

昨日は昼頃から雨が降りだしました。
ひさびさに湿ったアスファルトから立ちのぼるあの独特の匂いをかいだような気がしました。

こういう匂いをかぐと、しつこくスキーに行ったりして冬にしがみついていた僕の頭も、ようやく季節の変化を受け入れざるをえないわけです(遅すぎ)

それにしても、どうも子供の頃から、特に「夏の夕立の匂い」という印象のあるあの匂い、冬でも雨が降ると少しはしてくるのですが、基本的には冬より夏、寒い日より暖かい日のほうが強い気がします。

これは、あながち気のせいでもないようです。

 1. 温度が高いと匂いの分子の動きが活発になる
 2. 匂いの分子は粘液に溶けて嗅細胞の感覚毛を刺激するので、湿度が高く水分が豊富なときは匂いを感じやすい

水は基本的に無味無臭なので、あの匂いの正体は単純にアスファルト自体のものです。
熱したアスファルトからは、ベンゼン、トルエン、硫化水素、二酸化硫黄、芳香族カルボニルなどの芳香物質が微量に揮発しますが、これも当然温度が高くなればなるほど揮発量は増していきます。

温度が高いと分子が活発になり、匂いの分子もどんどん拡散していくので、晴れているときはアスファルトが激しく焼けていてもあまりあの匂いがすることはありませんが、そこに雨が降ると一気にこの匂いが鼻に届くというわけです。降り始めてからしばらく経つと、匂いの成分が流されてしまうので、降りはじめが一番強い匂いがするということになります。

ちなみに、上記の成分ですが、

ベンゼン:ガソリンや排気ガスに含まれる
トルエン:いわずと知れたシンナー。溶剤とか接着剤の匂い
硫化水素:温泉の匂い、ゆで卵をむいたときの匂い
二酸化硫黄:火山の噴火口や温泉の匂い
芳香族カルボニル:魚介類の「やけ臭」

ベンゼンやトルエンは芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbon)と呼ばれるベンゼン環をもつ分子族で呼称はアロマテラピーのアロマと一緒。

硫化水素や二酸化硫黄は有毒。ちなみに一定以上の危険な濃度に達すると、逆に匂いがしなくなるそうです。

こうしてみるとなんだかあまり良い匂いとも思えませんが、ワインとかコーヒーの香りのなかには「猫のオシッコ」とか「腐った魚」とかそんな匂いが混ざっていたりするわけですから。あと「濡れた地面」ってのも。。

でも、いわゆる「濡れた地面の匂い」ってのは「濡れたアスファルトの匂い」じゃなくてむしろこういうのを指すものと思われますが、個人的には、あの「濡れたアスファルトの匂い」が、子供の頃の夏休みやら夕立の直前のわくわくする感じをフラッシュバックさせてくれるので好きです。


たぶんケミカルフェチとかではありません。
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by tatsuki-s | 2004-04-15 13:19 | Talking(よもやまばなし)

超カリフォルニア州知事(「超」は「知事」にではなく「州」にかかります)

シュワ知事、ハワイで溺れかけた男性救出

>  シュワルツェネッガー知事が12日、記者会見で明らかにした
> ところによると、知事は、マウイ島のビーチで子どもたちと遊んでいた際、
> 約300メートル沖合の水面でもがいている男性を発見した。

子供たちが遊ぶ、のどかなビーチの風景。

ふと何かの気配に気づくシュワルツェネッガー。

周囲の音がフェードアウト。

…ででっでっででっ♪(ターミネーターのBGM)

BGMにあわせて、画面一杯ににじりよるアップのシュ(以下略)

>  知事が大丈夫かと声をかけると、男性は全身がけいれんして泳げないと答えた
> ため、ボディボードを使って男性を浜に引き揚げたという。 

男性は知事と300メートル離れて大声で会話したんでしょうか。それとも、知事がいったん泳いで行って近づいて、ボディボードを岸に取りに帰ったんでしょうか。

全身がけいれんしてたわりには、妙な余裕を感じさせる書きぶりがナイスです。

> エンターテインメントニュース

あ、やっぱりそういうカテゴリーなんだ。


(追記)

と思ったら、こっちの記事とは随分話が違うようで。

> ニューストップ > 芸能 > 映画 > 記事全文

でも扱いは一緒。

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by tatsuki-s | 2004-04-13 17:14 | Anecdote/Pun(小噺・ネタ)


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